日光といえば世界遺産で有名な日光東照宮の観光が一般的ですが、私のおすすめは大使館別荘とノスタルジックな西洋を感じる建築めぐりと美しい中禅寺湖畔です。
日光は明治初期から自然と歴史・文化遺産を兼ね備える避暑地として日本に滞在する欧米人にその価値を高く評価され、中禅寺湖畔は各国の大使館や多くの外国人別荘が建てられ、国際避暑地として発展した歴史があります。
日光は都内からの日帰りも可能です
日光は二つの駅があり乗り入れも便利です。
JR日光駅
1912年に完成した駅舎はネオ・ルネサンス様式のハーフティンバー様式、木造洋風建築2階建てで、鉄道院技手の明石虎雄の設計とされています。淡いピンクのアクセントのフレームが可愛らしい造りです。
2階は1等客の特別待合所として使用されていました。
東武日光駅
1929年開業の山小屋風の三角屋根の駅舎でこちらもメルヘンチックです。
駅構内では駅弁当が販売されていてバスの待ち時間のランチにぴったりです。
湯波ばら寿司は酢飯が食欲増進させる味付けです。
中禅寺湖でクルージング
中禅寺湖は、約2万年前に男体山の噴火でできた湖です。
ここでは、1906年には、在日英国公使(後に大使)のクロード マクドナルドが会長となり各国大使が参加する男体山ヨットクラブ主催のレースが毎週のように開催されており、ヨットは別荘の行き来や買い物などにもよく利用されていました。
湖の色はとにかくキレイなエメラルドグリーンで私はスイスで見た時の湖の美しさを思い出しました。まさにヨーロッパ気分に浸れる湖です。
クルージングで訪れることができる大使記念別荘記念公園は2つの大使の別荘があり中禅寺湖の豊かな自然や国際避暑地の歴史が楽しめます。
他にフランス大使館別荘とベルギー王国大使館別荘がありますが現在は一般公開されていませんが、ベルギー王国大使館別荘は2023年の6月30日(金)〜7月2日(日)に限定特別公開されました。
英国大使館別荘記念公園
1862年に通訳生として来日した英国人アーネスト サトウは奥日光の美しさに魅せられ、1896年に自分の別荘を建築しました。
その後、山荘は英国大使館別荘として2008年まで長年使われてきた姿に復元し国際避暑地としての歴史や当時の英国文化を紹介しています。
サトウが母国の湖水地方を思い起こさせると語ったとされている絵に描いたような美しい中禅寺湖畔の風景を満喫でき紅茶やイギリスのお菓子スコーンなどが楽しめます。
1874年に奥日光をこよなく愛したサトウは英文のガイドブック「日光案内」( A Guide Book to Nikko )を刊行し、広く日光の姿を紹介しました。
英国大使館別荘記念公園
住所:栃木県日光市中宮祠2482
イタリア大使館別荘記念公園
1928年に著名な建築家であるアントニン レーモンドの設計によりイタリア大使館の別荘として建設され、1997年まで歴代の大使が使用していました。
本邸と副邸の2棟からなり本邸は当時の設計図をもとにできる限り再利用して復元された床板や建具・家具、暖炉を持つ食堂と書斎が中央の居間を挟んだワンルームとなっています。
パターンを変えながら杉皮張りで仕上げられた内外装も際立った造りとなっています。
展示館として現在は公開され副邸は往時の歴史を知ることができる国際避暑地歴史館になっています。
また広縁からは湖の景観を最大限に生かした設計となっており表情豊かな美しい中禅寺湖の風景を堪能することができます。
自然に調和し、ゆったりとした時間を過ごした避暑生活を彷彿とさせる国際避暑地です。
イタリア大使館別荘記念公園
住所:栃木県日光市中宮祠2482
金谷ホテル
1893年(明治26年)、金谷ホテルは日本最古のリゾートホテルとして開業しました。
外観は西洋風で、館内は日本風の調度品や建築様式が随所に取り込まれていることもあり、不思議とノスタルジックな優しい気分に浸れます。
1870年(明治3年)に東照宮の雅楽師を勤めていた金谷善一郎がアメリカ人宣教医ヘボン博士が日光を訪れた際に自宅を宿として提供しました。
そして、1873年(明治6年)に博士は日光を訪れる外国人の増加に伴い、善一郎に外国人専用の宿泊施設を作ることを提案し、善一郎は民宿創業を決意し、四軒町(現在の本町)の自宅を改造して、金谷カテッジインを開業しました。
これが金谷ホテルの始まりです。
その20年後の1893年(明治26年)、現在地で本格的な西洋式の金谷ホテル(現 日光金谷ホテル)として営業を開始しました。
宿帳にはアインシュタインやヘレン ケラーなど国際的な著名人の名前も残ります。
日光金谷ホテル
住所:栃木県日光市上鉢石町1300−1300
金谷ホテル歴史館
金谷ホテルの前身の金谷カテッジインが生まれた建物は約360年前に建てられた武家屋敷で140年以上経過した家屋は当時と同じ場所にほとんどそのままの形で保存されています。
2014年国の登録有形文化財に指定され、2015年3月に金谷ホテル歴史館の名称で一般公開が始まりました。
江戸時代には武士が住んでいたことから外国人客の間ではSamurai House(侍屋敷)と呼ばれていました。
武家屋敷の姿の建築遺産としての価値と日本初の西洋式リゾートホテル発祥の地という二つの歴史的価値を持つ稀有な文化財です。
1878年(明治11年)ヘボン博士の紹介でカテッジインに滞留した英国人旅行家イザベラ バードは日光や金谷家の様子を綴った著書「日本奥地紀行」があります。
金谷ホテル歴史館
住所:栃木県日光市本町1−25 資料館棟
明治の館
明治の館は、日本に初めて蓄音機を紹介したアメリカの貿易商 F.W.ホーンの別荘として建造されました。
3階建ての洋館で地元の稲荷川の日光石(安山岩)を使って積み上げられた壁面となっており18世紀に流行したジョージアン様式の特徴を持つ石造りの洋館レストランです。
洋館の扉を開くと気品溢れる空間が広がっており文明開化の明治に出逢えます。
敷地内にはイギリスのアンティークなテレフォンボックスが配置され、緑の木々の中にレッドが素敵なアクセントとなっています
明治の館のメニューで一番人気のオムレツライスをいただきました。
ケチャップ味の濃厚なチキンライスにふんわりトロ~リとした卵、手間ひまかけたデミグラスソースは熟練シェフの味です。
明治の館
住所: 栃木県日光市山内2339−1
日光真光教会
バスの車窓からハッと目に留まったスコットランドを感じる重厚な建物は1916年、ジェームズ・M・ガーディナー氏の設計によって建てられた英国国教会です。
外壁の施工は、明治の館の外壁を施工した地元の名石工の相ヶ瀬森次氏で外壁は地元日光の大谷川と稲荷川から採取した安山岩、聖堂内部は地元の板橋石が使われています。
日光真光教会
住所: 栃木県日光市本町1−6